新人スタッフ斉田新人スタッフ斉田

オフセット印刷とオンデマンド印刷では、印刷の仕組み、つまり機械が違います。
その機械の特徴から、ネット印刷では印刷部数によって使い分けられることがほとんどです。

一般的なネット印刷では、以下のように分けられます。

1枚からの、とても少ない部数から対応しているのが「オンデマンド印刷」
100枚からの、もっと多い部数を印刷できるのが「オフセット印刷」

しかし、ほとんどのネット印刷で、この2種類の印刷方式が用意されているのですが、印刷の仕組みって専門用語も多くてとにかく複雑でわかりにくいですよね・・・。

そこで今回はこの「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」をわかりやすく説明したいと思います。
それぞれの印刷の違いが気になる方だけでなく、品質や印刷の仕上がりにこだわりがある人もぜひご覧ください。

印刷機の特徴

オフセット印刷オンデマンド印刷
(レーザー式プリンター)
オンデマンド印刷
(インクジェット式プリンター)
見た目
特徴「版」を使って、
転写を利用して印刷をする
「版」を使わずに、
粉状のインク(トナー)で印刷する
「版」を使わずに、
インクを吹きつけて印刷する
対応枚数100枚〜1枚〜1枚〜
対応サイズA7〜B1A7〜A3A2〜B0

※ ネット印刷によって対応枚数・対応サイズは異なります。

「オフセット印刷」というのは、版を使った大型の印刷機で色の表現性がとても高いものとなります。
品質にこだわる方は、こちらを選んでおけばまず問題がないでしょう。

一方「オンデマンド印刷」は、「特定の印刷機」を指すものではなく、「必要なとき必要な印刷ができる印刷」を表しています。
そのため、「版」を必要とせずにすぐに印刷でき仕上げることができる、「レーザー式」と「インクジェット式」の主に2種類の印刷機に分かれます。

オンデマンド印刷機のイメージとしてぴったりなのは「オフィスや家庭にあるプリンターの高品質版」です。
ただし、高品質ではあるのですが、会社によってはこの機械の詳細がわかりません。
不安な方は事前にネット印刷の印刷サンプルや問い合わせすることをオススメします。

では、ここからさらに、それぞれの印刷機について詳しく説明していきましょう。

オフセット印刷

オフセット印刷の特徴は、品質の高さとキレイに印刷し続けることができる安定性です。

オフセット印刷の仕組みはインクが「(1)金属でできたハンコ【版】→(2)ゴムをまきつけたローラー【ブランケット】→(3)用紙」という順番で、印刷されます。

版から紙には直接インクをつけません。

大事なところなので、【版】を「固いハンコ」、【ブランケット】を「やわらかいゴム」として、もう少し詳しく説明します。

直接「固いハンコ」を紙に押しつけていると、押しつけている圧によってハンコがだんだん傷んできます。
そうするとはじめはキレイに押せていたハンコも、だんだんキレイに押せなくなってしまいます。

そこで、大量に印刷できるようにするため、固いハンコからいったん「やわらかいゴム」にインクをのせて(オフ)、用紙にインクをつける(セット)ことから「オフセット印刷」と呼ばれています。

このため、1000部を超える部数であっても高い品質のまま安定して印刷ができるのです。

また、この印刷方法は細かい文字や線も鮮明で、色むらもなく、紙と一体化したような発色となります。

オフセット印刷で使われる版は「平版(PS版)」と呼ばれ、表面にあまり凹凸がない特徴をもちます。
凹凸が少なくても版の通りに印刷されるのは、版面が油を引き寄せる「親油性」と水を引き寄せる「親水性」の部分に分かれているため、油性であるインクが親油性の部分にのみつくためです。

オフセット印刷では印刷するデータをプロセスカラーと呼ばれる4色【C:シアン(青)、M:マゼンタ(赤紫)、Y:イエロー(黄)、K:キーカラー(黒)】に分けてアルミ素材で版を作ったあと、それぞれの版にインクをつけて、そのインクをブランケット銅でうつし取り、さらにそこから用紙に転写させて印刷されることで、フルカラーで印刷されています。

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しかし、このオフセット印刷は、「版」だけではなく、試しに印刷する「用紙」枚数などのコストがかかってしまうため、1部〜100部程度の少ない枚数だけを印刷することに向いてません。

オンデマンド印刷(レーザー式プリンター)

レーザー式プリンターの特徴は、A6サイズ〜A3サイズの少ない部数の印刷に向いていること。
さらにほとんどの場合、インクを熱で圧着させる仕組みにより、乾かす時間がまったくかからないため、短時間で商品を仕上げることができます。

最近では、オフセット印刷の品質に近い機種が増えてきましたが、会社によってその品質はさまざまです。
機種によっては湿度や気温に影響されやすく、オフセットに比べて色の表現にムラが生じる場合もあるため、広い範囲の色が濃いデザインや細かい文字の印刷では若干、滲んでいるように感じてしまうことがあります。
このため、大量部数の印刷物には向いていないとされています。

レーザー式プリンターの印刷する仕組みに必要なものは「感光ドラム、レーザー、粉状インク(トナー)、用紙」。
感光ドラムという「磁石」と「砂鉄」のようなインク(トナー)があることで、版のない状態で印刷するのです。

その方法は、磁石【感光ドラム】にレーザー光線が当てられることによって、磁石の表面が「一時的なハンコ」のようになります。
そこに粉状の砂鉄【粉状インク(トナー)】がつき、そのあと用紙に転写されて印刷されます。

そんな一時的なハンコを作り出す「感光ドラム」の仕組みは、静電気が蓄えられた感光ドラムに、印刷される形に沿ってレーザービームが当てられます。
そうすると当たった部分の静電気が弱くなり、弱くなった部分にインクが引き寄せられて、印刷されます。

オンデマンド印刷(インクジェット式プリンター)

インクジェット式プリンターは、大型のもので、印刷用紙の最大が1m20cm程度まで対応しているため、オフセットでは難しいB0サイズ(1030mm×1456mm)まで印刷できるのが特徴です。

印刷はインクに圧力や熱を加えてとても細かい点(微粒子)で直接用紙に噴きつけます。そのため、色の再現性が高いことも特徴のうちのひとつに上げられます。

しかし、印刷時間が上のレーザー式プリンターよりもかかるので、複数枚の大型ポスターの集中注文に備えて、やや納期に余裕を持たせているネット印刷も多く見られます。

インクジェット式プリンターの仕組みに必要なものは「霧状にするための装置、インク、用紙」。
霧状にするための装置は、イメージしやすいものに例えると「スプレー」です。
インクジェット式のプリンターは、印刷するデータと同じようにカラースプレーを吹きつけて、版を使わずに印刷しています。

また霧状にする装置には種類があり、電気を通すと形が変わる素材で押し出すものと、熱を利用して気泡で押し出すもので分かれます。
この電気を通すと形が変わる素材を使ったものを「ピエゾ方式」、熱を利用したものは「サーマル方式」と呼び、これはネット印刷のプリンターだけでなく一般的な家庭用プリンターも同じように分かれています。

ピエゾ方式の仕組み

ピエゾ方式は電圧によって体積が変化する「圧電素子(ピエゾ素子)」という物質がインクタンク内にセットされ、圧電素子に電気が流れることで形状が変化し、インクを押しだして吹きつける方法です。

ピエゾ方式

サーマル方式の仕組み

サーマル方式はインクタンク横に設置された「ヒーター」が急速に加熱されることで、気泡を発生させ、その空気圧を利用してインクを霧状にする方法です。

サーマル方式

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最近のオンデマンド機では技術の進歩によって、オフセット印刷の限りなく近い色の再現ができる「デジタルオフセット印刷機」といわれるものや、A3以上の大きいサイズも印刷できる「レーザー式印刷機」なども生まれ、品質もとても上がってきています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

とにかく、間違いない品質を求めるのであれば「オフセット印刷」を、1部から100部程度のとても少ない印刷物なら「オンデマンド印刷」というのがオススメです。

しかし、オンデマンド印刷は会社によって機種が異なりますので、初めて利用するネット印刷では、必ず資料請求をしていただくことをオススメします。

キングプリンターズでも、無料で請求できるサンプルセットの「基本サンプルセットとオンデマンド印刷紙の見本帳にチェック」いただくと、言葉で表現されてもわかりにくいオフセットとオンデマンド印刷の違いを比べていただけます。
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この記事で、
「はじめて印刷注文をするけどもオフセットとオンデマンドって何?」
「前にオフセット印刷で頼んだものをオンデマンド印刷にしたら色味が変わってしまった・・・。」
といった印刷機の違いに悩む方が減りますように。